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我が家の太陽光発電設置顛末記 〜 東電との売電契約交渉 〜(4)

菅井 益郎/市民エネルギー研究所
「地球号の危機ニュースレター」No.283掲載




7. RPS法に基づく新しい系統連系契約書


私たち市民エネルギー研究所では、現在施行されているRPS法が、むしろ太陽光発電や風力発電など自然エネルギーを促進せず、逆に障害になる内容になっていると批判してきた。

そこで皆の知恵も借りながら系統連系にあたってはRPS法施行前の契約内容で契約書を交わすことを目標に置いた。個人的には環境に配慮するために貯金全部をはたいて設置した太陽光発電を東電の傘下に組み込まれるのではたまったものではない。RPS法が自然エネルギーの買い取り義務を課していないが故に東電を通して登録する、その結果環境に寄与する部分は東電の義務を達成するための一部として使われる、これでは大枚を果たした甲斐がないというものだ。

地球環境に寄与するために太陽光発電を設置したのは他でもない私のわけだから、これを発電した電力の買い取りとともに名実ともに電力会社に所属させよというのはまったく許しがたい話しである。

送られてきた契約書(太陽光発電設備の系統連系に伴う電力需給に関する契約書)の内容は、聞いていた通り、やはり従来の契約書とは異なっていた。一方、RPSに基づく設備認定の申請代行に関する別分は別建てになっており、四国電力などのように電力会社を通して申請しなければ系統連系しないというものではなかった。当然だと思いつつ私のほうもややホッとする。

しかしながら、小泉好延さんから借りた契約書をよく読むと、従来の契約書と明らかに異なっている。こうなると問題は、契約書本体のほうで従来の契約書と比べて、こちら側が不利になっていると思われる条項を削除し、少なくとも従来の契約内容に戻すことである。


8. 従来の契約書と新しい契約書の相違点


従来の契約書の第15条(契約の解消)では、「甲が本契約に定められた条項に違反した場合は、乙(東京電力)は契約有効期間中においても甲に通知のうえ本契約を解消できるものとする」と東電側から一方的に契約解消ができることになっているが、第16条(疑義の決定等)では「本契約に疑義を生じた場合、またはこの契約によりがたい事情の変化が生じた場合については、甲、乙協議のうえ決定するものとする」と、問題が生じた場合はこちらが東電と「協議のうえ決定する」と一応は対等に協議することがうたわれている。したがって協議して決裂した場合は不利になると考えられるが、必ずしも一方的とはいえない。

私が受け取った新しい契約書では、(疑義の決定等)の条項は形を変え、第17条(協議事項)に移され、「本契約に定めない事項、または本契約により難い特別な事情が生じた場合は、甲及び乙は誠意をもって協議し、その処理のあたるものとする」と、やや表現はソフトになっているが、「その処理にあたる」と受け取り方によっては若干内容的に後退した感じになっている。私は新契約書よりも従来の「協議のうえ決定する」の方がよりこちら側に対等性を持たせた表現だと思う。

さて新契約書の問題は、RPS法を前提として新たに付加された第16条にある。

(環境に係る付加価値の帰属)
第16条 第1条に定める受給電力は、乙が「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」における新エネルギー等電気として利用するものとし、甲は乙に対しこれに必要な協力をするものとする。


第16条によれば、RPS法によって私は東京電力に必要な協力をしなければならず、別紙の「設備申請代行承諾書」は拒否したくともできないことになる。つまり、系統連系すれば私の太陽電池で発電した電気の「環境価値分」は、東電がRPS法によって義務づけられている新エネルギー供給量の一部として組み込むことを有無を言わさず私に認めさせることを意味する。なぜなら、現状では私は東電に電気を売る以外に他に方法はないのであるから。第16条がある限り、「設備申請代行承諾書」に署名捺印する必要があるということになる。

東電の本音からすれば、電気は余っているのに不安定な電気を高く買い取ってやっているのだからそれくらい当然のことだといいたいのかもしれない。また、これまで電力会社側の自主的な購入メニューに基づいて太陽光や風力で発電した電力を買い取ってきたが、RPS法によって供給量の一定量は自然エネルギーで発電した電気充当する義務が生じたため、買い取りと引き換えにこれらの設備と発電能力を電力会社の下に帰属させる必要が生まれたのだといいたいのかもしれない。

だが、RPS法の問題は北海道電力や東北電力が義務量を超えたことを理由に風力発電の電気の購入を中止したり、購入量を制限したりしたばかりか、火力の燃料分といわれる1kWh当たり3円あまりというきわめて安価でしか買い取らないという現実に現れている。

すでに本研究所の井田均氏が指摘している通り、RPS法は義務量の設定があまりに小さく、しかもゴミ発電からの購入で足るような現状では、自然エネルギーで発電した電力の引き取りは電力会社の都合次第という法律なのである。それに東京電力の新旧いずれの契約書においても契約期間は1年間であり、内容の変更がない限り契約は更新するとうたっているが、投下資金の回収までの期間継続することは保証していない。これでは環境意識の高い者しか取り組めない。

環境保全のために自然エネルギーの普及促進をはかるという方針をとっているのであれば、本来ならば過剰な原子力発電をやめ、自らの資金で自然エネルギーによる発電に切り替えていかなければならない。電力各社は自社の短期的利益の増大にはつながらない自然エネルギーによる発電はせず、個人や地方団体、零細企業に出資させているといえる。それならば、東電はいかなる条件もつけることなく、太陽光発電や風力発電で発電された電気を買い取ることが必要だ。もし私的企業ではできないことだというのなら(ドイツをはじめヨーロッパ諸国ではやっているが)小泉好延さんが提案しているように国が買い取りの義務を負うべきだといえよう。(つづく)



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